1971年生まれ 徳島県出身 イラストレーター 画家。
歌人の川上史津子氏に教えていただいて、今年7月に京都・アスタルテ書房で行われた個展を観た。9月から10月初めの新宿ゴールデン街のバー「クラクラ」での個展にも出かけた。切れ長の眼でこちらに視線を向けながら淫蕩な遊びに耽る美少女の絵に激しく惹かれた。官能の絶えざる襲撃に堪え、肌えを曝さず、*静な表情で微かな声も漏らしていないように見える少女は、そうすることで自らの官能を増幅させているようだ。彼女が五官で感じる全てのこと、歓喜、悲哀、他者の栄光や悲惨までが、彼女の快感を掻き立てる材料となるに違いない。
実際には彼女が苦悶の表情を浮かべている作品もあって、それは彼女が濡れ縁に腰を掛け、タライに足を浸して涼をとりながら読書している姿を描いたものなのだが、そのタライには水ではなく大きな鮹が入っていて、彼女の白く細い足に絡みついているのである。
「クラクラ」では、武侠小説の挿絵のような、血まみれで闘っているセーラー服の少女を襖に描いた大きな作品も展示されていて、これは上記の少女とは別のキャラクターのようであるが、もはや鬼神と化したような少女の姿はとても迫力があり、面白かった。
森口氏は「Gのカンバス」(睦月影郎著・集英社刊)、雑誌「SPA!」「ダ・ヴィンチ」等で装画や挿画の仕事をしている。「クラクラ」訪問時に少し言葉を交わすことが出来たが、無意識過剰で豪快かつ繊細なお人柄に見受けられ、ぜひお友達になりたいと思った。早く画集を出して欲しい。
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